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どのような事項でもよく、手形要件に限るものではありません。
たとえば、裏書日付、被裏書人名を抹消すれば、変造となりますが、逆に確定日払い手形の振出日や手形受取人の記載を抹消または変更しても、変造とはなりません。
このような手形要件の抹消、変更も広い意味では変造といわれることがありますけれども、手形債務の内容を決めるのに無関係な記載事項を権限なしに変えても、手形法に定める変造にはならないといわれています。
変造の手段、方法は問いませんから、抹消、変更、追加などいろいろな方法が考えられます。
典型的な変造としては、金額の変造があります。
新しい数字を加えたり、すでに書かれている数字に細工してより多い金額に変更するわけです。
もっとも、当座勘定取引における手形用法によれば、アラビア数字で金額を書くときは、チェックライターを使用しなければならないし、手書きをするならば、文字を使用することになっているなど、用法をキチンと守って金額記入をすれば、このような変造は起こらないといえます。
つぎに多いのは、支払期日の変造です。
多くは手書きか日付用スタンプを使用して表示されるので、変造される危険が生じます。
手形を取得した者が、支払期日を早めたり、あるいは遅くして呈示期間内に呈示し忘れたのを正当な呈示であるように期日を変造するわけです。
実際にもっとも多いケースは、この支払期日の変造です。
なお、変造は無権限で手形上の記載をつくり変えることですから、手形関係者全員が同意して変更するのは、変造にはなりません。
変造と手形責任関係変造された手形については、変造後の手形の署名者は、変更された文言に従って責任を負う、変造前の署名者は、変更される以前の原文言に従って責任を負うというのが一般原則です。
金額を改ざんされた手形の署名者は、改ざんされる前の金額についてだけ支払い責任を負えばよいし、支払期日が早い日付に変造された場合には、振出人は支払期日未到来を主張できます。
この変造であるとの抗弁は、物的抗弁ですから、善意の所持人に対しても対抗できるものです。
ただ、金額の変造については、手形用法通りに記載されていれば、変造という事態が起こらないようになっていますから、変造が生じたとすれば、変造された者に責任がないとはいえないので、最近は所持人の悪意、重過失を立証しないと、変造の抗弁を対抗できないこともありうるとされています。
手形の盗難、紛失の対策手形の盗難、紛失という事例も、日常的によくあることです。
それも、金庫に保管しておいた手形用紙や印章を一緒に盗まれる場合のように、厳密にはまだ用紙の段階で盗まれることもあります。
もちろん、その後手形偽造が行われるのも珍しくありません。電車内の網棚にカバンを置いたまま下車してしまい、気が付いて探したが不明であったところ、後日カバンに入れておいた手形が呈示されてきたり、電話ボックスに置き忘れた封筒に入っていた手形が呈示されてきたという例もあります。
ただ、手形の場合、手形金を受け取るためには、必ず交換呈示しなければなりませんから、当初は紛失であっても、その後、取得者が盗取の意思をもって入手したのは確かですから、振出人が紛失の事由で支払い拒絶するのは、盗んだ者からその事情を知らないで入手した所持人によって、支払い呈示を受けたためといえます。
いずれにしても、手形の盗難、紛失には気付き次第、すみやかに対策を講じなければなりません。
手形用紙の盗難、紛失用紙の段階でこうした事故にあったときの対策としては、まず、約束手形用紙の場合には、取引(用紙交付)銀行に「手形用紙喪失届」を提出し、必要があれば同時に「改印届」を出します。
合わせて、警察署へ「被害(遺失)届」を出しておきます。いずれも届け出用紙は先方に用意されています。
銀行はこの届け出にもとづいて支払いの差し止めをしますが、大体三ヵ月位が注意期間となるようで、その後は印鑑照合の結果、相違ないと認めて支払っても、一応免責されるようにしています。
ただし、改印までされれば、期間とは無関係に、旧印章の押捺された手形は支払いません。
つぎに、為替手形用紙の場合ですが、これは用紙を交付した銀行には、呈示されないものです。
用紙は為替手形の振出人となる会社や個人の取引銀行が交付しますが、為替手形の支払いを行うのは引受人ですから、その取引銀行へ呈示されることになります。
したがって、約束手形のように、用紙交付銀行ではなく別の銀行に回ってくるわけです。
このため、用紙交付銀行に喪失届を提出しても、ほとんど無意味というほかありません。
しかし、警察署へ被害届を提出しておくのは、後日のために望ましいことでしょう。
J署名済み交付前の手形の盗難、紛失したら取引銀行へ手形の事故届を提出、警察署へ被害届を提出、支払地の簡易裁判所へ公示催告の申し立て、という手を打つ必要があります。
それにしても、署名済みの手形を金庫にしまっておくのは、非常に不用心であるといえます。
署名済みの手形を交付前になくしてしまったら交付行為がないので、振り出し行為がなかったともみえますが、手形が善意の第三者の手に渡った場合には、振出(引受)人としての責任は免れないと考えるべきです。
もっとも普通のケースですが、この場合にも、振出人に依頼して手形の支払銀行へ事故届を提出してもらう、警察署へ盗難または紛失の被害届を提出する、簡易裁判所へ公示催告の申し立てを行う、という手を打つことになります。
盗難、紛失について新聞広告を出しても、だれもが見るわけではありませんので、実際にはまったく無意味といえます。
公示催告と除権判決手形を盗難または紛失した場合には、どこかで流通しているかも知れませんので、善意の取得者が出るのを防ぐ必要があります。
また、手形を焼失などした場合には、手形そのものがなくなったわけですから、善意の第三者が現れることはないはずですが、自分が手形の権利者であるという証明も困難になります。
このように、手形を盗難、紛失または焼失などしたときに、その手形を無効とし手形上の権利を取り戻す方法が公示催告による除権判決です。
小切手についても利用できなくはありませんが、小切手は呈示期間が振出日の翌日から十日間と短いし、支払い委託の取り消しが有効にできることなどから、利用価値は少ないといえます。
公示催告のやり方公示催告を申し立てることができるのは手形が失われた当時の所持人です。
裏書のない手形については受取人、最後の裏書が白地式裏書ならば最後の所持人、最後の裏書が記名式裏書のときにはその被裏書人、持参人払い式小切手については、最後の所持人、手形署名後交付前に喪失した場合は振出人がそれぞれ支払地の簡易裁判所に申し立てることになります。
公示催告申立には、剛申し立ての趣旨、聞申し立ての理由、国疎明資料、㈲盗難などにかかった手形の要件などを記入、添付します。
疎明資料として、警察の盗難届受理証明書、消防署の罹災証明書などが必要です。
裁判所が申し立ては理由ありと認めれば公示催告の公告をします。
つまり、手形を所持している者は、公示催告期日までに裁判所に権利を届け出て手形を提出すること、もし届け出、提出がなければ手形を無効とすること、を裁判所の掲示場に掲示し、同時に官報に掲載します。

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